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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十)金色の処女(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 137,868 字 · 278 頁

青空文庫

ガラッ八の八五郎にとっては、銅六は自分の代弁者のような心持だったのでしょう。

「ところで、三軒長屋の出入りを、誰がそんなに詳しく見ていたんだ」

「向うの駄菓子屋の女房ですよ、――神田一番の金棒曳きで、町内のお菜の匂いまで嗅ぎわけて歩く女で」

「…………」

「店番をしながら、夜業の亭主の帰りを待って、八方へ眼を配っているんで」

「大変な女だな、――だが、その駄菓子屋の女房の眼をのがれて、裏口から帰る術もあるだろう」

「術はあったって用いませんよ、たった一枚の袷を質に入れたことまで、ワメき散らす人間の住んでいる国だもの」

「なるほどな」

「ところで、周助の身許を根こそぎ洗って来ましたよ」

「それは有難い、――九州生れで、十七年前に江戸へ来たこと、その頃から独り者だったこと、医者の石沢閑斎と懇意だったこと、それからどんな事を聞き出した?」

「あれ、親分は、あっしの言うことをみんな知ってるじゃありませんか。どこで立聞きしていたんで?」

「立聞きなんかするものか――ところで、外に何か聞き出したのかい」

「それっきりですよ。驚いたな、どうも」

「それじゃ今日の聞込みは俺の方が勝ちだ。