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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(四)城の絵図面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,179 字 · 280 頁

青空文庫

七

「変なところへ行くじゃないか、浪人者に何用があったんだ」

「ヤットウの先生ですよ。葬式に出て貰いたい――と頼みに行ったんだそうで」

「万吉は?」

「縁談の卜いはしおらしいでしょう。親分、あんな事を言うくせに、お染に未練があるんだね」

「お通夜の晩に、縁談を卜ったのかい」

「お通夜だって葬式だって、その道は別で、へッ」

ガラッ八は首を縮めました。

「久蔵の用事は?」

「借金を返しに行ったそうで」

「いくらだ」

「八両二分」

「たいそう義理堅いんだね」

「昨夜が期限なんだそうで、主人の勘五郎から、無理に借りて行きましたよ」

「フーム」

「あとは早桶屋に町役人」

「もういい――ところで粂吉は浜町、井田平十郎の家は明神下だな」

「ヘエ――」

「万吉の行った卜者はどこだ」

「明神前の、万寿堂で」

「…………」

「早桶屋は町内の桶辰、町役人は井艸屋惣左衛門」

「もういい」

平次はまた考え込みました。

七

「親分、どこへ行きなさるんで?」

八五郎と別れて、スタスタと浅草の方へ行く平次を、あわてて引止めたのはガラッ八自身でした。

「観音様へお詣りしてくるよ」

「山崎屋の方は? 親分」

「手前がいいようにやっておいてくれ、日の暮れるまでには行ってみるから」