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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(四)城の絵図面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,179 字 · 280 頁

青空文庫

ただ決して出鱈目なものではなく、昔の人はこういうことについて、実によく研究していたということが解っていただけば充分です。

降って天保年間には、兵糧丸について面白い騒ぎがありますが、それはまた筆を改めて書く機会もあるでしょう。

とにかく、兵糧丸の秘密を守るためには、ずいぶん一藩の運命を賭けたこともあるくらいですから、封建時代に、人間を二三人殺すことを、何とも思わない野心家があったことも不思議はないのです。

余事はさておき、銭形平次は笹野新三郎に止められて、辛くも老中を動かすことだけは思い止まりましたが、江戸の名医を二人まで、虫のように殺した相手を、そのまま差し置くのが、何としても心外でたまりません。

翌る朝、御納戸町へ行って、もう少し詳しく聴くつもりでいると、例のガラッ八が、旋風のように飛込んで来ました。

「親分、今度はお嬢さんがさらわれた」

「何? お嬢さんが――」

「お絹さんが昨夜のうちに行方知れずだ。あんな綺麗な娘の死体が弁慶橋なんかに浮いた日にゃ、天道様も無駄光りだ、大急ぎで出かけましょう」

「よしッ、来い八五郎」

二人は宙を飛んで一色邸に駆けつけましたが、うち萎れた道庵を慰める術もなく、どうする事も出来ない有様だったのです。