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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(四)城の絵図面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,179 字 · 280 頁
四
「ヘエ――」
相手は大名、平次もこれ以上は手の下しようがありません。しばらく見ぬふりをしているうちに、志賀内匠は、高力左近太夫の身代りになって、九州島原まで、危険な旅に上ることでしょう。
四
その日の夕刻、志賀内匠の妻のお関は、今度はたった一人で平次の家へ訪ねて来ました。
「このようなものが参りました。御覧下さいまし」
差出したのは、半切をキリキリと畳んだ手紙、文面は、
拙者は無事でさるところに隠れている。母上様は何かとお気を揉まれることであろうが、そもじの力で、よく理解の行くように、お慰め申上げてくれ。また逢う折はあるかないか解らぬが、万一用事のある節は、西久保上御屋敷門番左五兵衛に頼むがよい。ただし、母上には申上げぬ方がよかろうと思う。私が死んだと思い誤って、気を揉む様子だから、無理の都合をして、この手紙を届ける、云々。
こんな事が、達者な手で細々と書いてあったのです。
「これは間違いもなく、内匠様御筆跡でしょうな」
「確かに、主人の書いたものでございます」
お関はうなずきます。
「主家を退転なすったのは、御主人様のお心持で?」
「いえ、母上様の思召しでございました。