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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(四)城の絵図面
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(四)城の絵図面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,179 字 · 280 頁
太吉は註を入れます。
「その時はもう息が絶えていたのだね」
「着換えをして床の上へ坐ったまま、鑿で喉を突いておりましたが、――」
良助はそう言ってゴクリと固唾を呑みました。
「遺書があったはずだが――」
平次の自信に充ちた調子が、すっかり二人を驚かした様子です。
「兄哥」
「…………」
太吉は良助を顧みました。
「出した方がいいぜ。つまらねえことをして、痛くない腹を探られるのも業腹だ」
太吉の落着いた声が、妙に人を動かします。
「親分、済みません、ツイふらふらと隠してしまいました。あっしには我慢が出来なかったので――」
良助は立ち上がると、部屋の隅の襖の引手を一つ外しました。中から引出したのは、半切に書いた遺書が一通。
「どれどれ」
平次も、石津右門も、大垣伊右衛門も首を鳩めました。が、遺書は一向平凡なもので、絵図面紛失の責めを負って死ぬことと、娘のお勇は、良助を諦めて、親類方の決めてくれる婿を容れ、柏木藤兵衛の跡を立ててくれるように――ということで終っております。
「遺書を隠したことを、お勇は知っているのか」
平次は良助の恐れ入った顔を顧みました。
「とんでもない、親分。