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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁
「試してみてくれ、爺さん」
又平が老人に叫んだ。
「舟が出るかどうか、やってみてくれ」
「斬込め」
半兵衛の声がした。
一人が渡り板へ足をかけた。又平は刀を構えながら、小屋の中へ向って(そこに人がいるかのように)どなった。
「こっちは引受けたから艫のほうを頼む、だがとび込んで来るまで出るな」
渡り板へ足をかけた男は、間合を計って跳ぶつもりらしかった。しかし、足で踏んでみると、板は脆くて、それだけの力を支えられそうもない。――やむなく、その男は刀を抜いて、静かに板を渡り始めた。
残る四人は、舟へ飛び移る隙を覘っているようであった。だが、約九尺の間隔と、みるかげもなく古り朽ちている舟のようすとで、飛び移る決心はなかなかつかないらしい。
渡り板の上の男は、板の半ばまで来て停った。揺れている板が止ったら、そこから跳躍するつもりだろう。
又平は一歩さがった。
このあいだに、友吉老人はもやってある綱を切り、深く突立てた棹に掴まって、(それは川波で舟が流されることのないように、深く固く舷側に添って突立ててあった)全身の力で押したり引いたりしていた。
「そこだ、ゆけ」
半兵衛が叫んだ、叫びながら、彼はひそかに抜取っていた小柄を、又平に向ってはっしと投げた。