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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁

青空文庫

四

女はまた万三郎を睨んだ。

四

ひどい方だと、女が万三郎を睨んだとき、わざとのように足音をさせて、――それがこういう家の習慣らしい――女中があがって来た。

「お客さまにお手紙でございます」

女中はこういって廊下に膝をついた。

「手紙っておれにか」

「はい、お使いの方が持ってみえました」

女中が封筒を出すのを見て、つなと名乗る女が手を伸ばした。しかし、それより早く万三郎が立っていって受取った。

「使いというのは男か女か」

「子供さんでございました」

「待っているのか」

「さあどうでしょうか、お帰りになったように思いますけれど」

万三郎は女中をさがらせ、立ったままで手紙の封をひらいた。

女は横眼で見ていた。

手紙の文句は簡単であった。「深川はまぐり町、井伊家下屋敷、河原中也といって訪ねて来い、徹」それだけである、が、「徹」という一字で、麹町の兄から来たものだということがわかった。

「どこからのお手紙ですの」

女が問いかけた。万三郎は手紙をこまかくひき裂き、それをさらに千切りながら元の処へ戻って坐った。

「どこから、――というほどのものじゃありません、ついちょっとした、――つまらぬ友人からですよ」