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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁

青空文庫

彼は怒りのために嚇となり、つぶてのように駆けつけると、かよの上にのしかかっている蔵人の衿を掴み、力まかせにひき起こした。

「このけだもの」

蔵人は強引にひきずられて広縁から落ち、わけのわからない叫びをあげながら、それこそまさしく「けもの」のようにはね起きて、万三郎にとびかかった。

「このけだものめ」

もういちど喚きざま、万三郎は相手をたぐりこみ、同時に脾腹へ一拳、痛烈な当て身をくれた。

躰勢もよかったし、満身の怒りをこめた力で、注文したように当て身がきまり、蔵人はうっといって前のめりに倒れた。殆んど地響きをさせて倒れ、もちろん絶息したが、倒れたとたんに足がちぢまった。

そのとき伝次の声がした。

「あっ、女が、女が逃げます」

三

――女が逃げる。

伝次の声に、万三郎ははっと気づいて振返った。

かよが社殿からとびおり、御手洗のほうへ走っていた。だが、そのゆく手へ、秀の現われるのが見えた。

「手荒なことをするな」

万三郎はそう叫びながら駆けていった。

かよは左へ曲った。しかし、そっちには伝次がいた。

「おやめなさい、かよさん、逃げられやしませんよ」

万三郎が叫んだ。