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ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁

青空文庫

「こうすればいいでしょう」

かよはそう云いざま、持ち直した懐剣を、さっと自分の胸に突き刺した。

万三郎はあっと叫び、かよにとびかかってその手を掴んだ。

「放して、――」

かよは身を跼めようとした。

すさまじいほどの力であった。万三郎は彼女を押えつけ、その腕を捻じあげた。かよは苦痛の呻きをもらした。

「ばかなことを、ばかな」

彼はしっかり押えつけたまま、懐剣の突立ったところを探ってみた。着重ねた着物のためにそう深くは刺さっていないようだった。

「死なせて下さい、お願いよ」

かよは泣きながら云った。

「万三郎さま、どうかあたしを死なせて」

「動いちゃいけない」

万三郎は懐剣を抜くと、いきなりかよの衿をひろげ、乱暴にふところの中へ手を入れた。手は肌着の上から、弾力のある温たかい胸乳の下へすべりこんだ。するとその指先が、ねっとりと濡れている傷口に触れた。

かよは気絶した。

四

万三郎たちが帰ったのは十時過ぎで、小屋ではまだみんな起きていたが、入って来た万三郎たちの姿を見ると、

「おお、――」

とまず休之助が叫んだ。

「またか、またか三郎」

斧田も眼をみはり、つなはさっと顔色を変えた。