輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁
「休さーん、休さーん」
彼は叫び続けながら、夢中で左に右に走りまわった。
――不人情なことをしちまったなあ。
彼は心のなかでそう呟いた。自分だけ助かって、兄を見殺しにしたようなものではないか。火薬に火がつく、と叫んだ筈である。爆発するから伏せろともどなった。自分では慥かにそう警告したのであるが、しかし、休之助が死んだとすると心が咎め、なんとも不人情なような気がしてならなかった。
「いませんかー、休さーん」
万三郎は谷尻のほうへ走った。
すると壊れた板片のごたごた重なっている処から、自分を呼ぶ声がするのを聞きつけ、はっとしながら駆け寄った。
「どこです、休さんですか」
「此処、こっちです、――」
板片の下から手が出た。
「斧田ですが、甲野さんも此処にいます」
万三郎はああと云い、手早く板片を取りのけた。斧田又平が起きあがった。
「兄はどこです、だめですか」
「いや、ただ頭を、――」
又平がそう云いかけたとき、
「花田万三郎、やりおったな」
と云う声がした。
万三郎はぱっと、左へとびあがって振向いた。そこに石黒半兵衛が立っていた。
半兵衛も爆発でやられたらしい、躯に傷はないようだが、顔の半面が黒く焦げ、着物はずたずたにひき裂け、さんばら髪になっていた。