輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ふうりゅうたいへいき

風流太平記

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁

青空文庫

向うの縁先で縫物をしている松吉が、糸をこきながら、

「それからどうしたの」

と云い、返辞がないので眼をあげた。

「あらいやだ、なにをそんなに見惚れているのさ、そんな恰好でぼんやりしていると風邪をひくよ」

「あたしもう大人だわねえ、松吉姐さん」

「あたりまえよ」

松吉は持った針を髪で撫でながら云った。

「十五と云えばもうお嫁にゆく年じゃないの、あんたの躯はおくなくらいだわ、――それよか話のあとをお聞かせな、その半ちゃんって子を追っかけてどこまでいったの」

「藤沢ってとこまでいったわ」

おちづは化粧を始めながら話し続けた。

此処は深川仲町の、松島屋という芸妓屋のひと間である。松吉という、その姐さん芸妓が主で、ほかには飯炊きのお仙というばあやがいるだけだった。

「藤沢って聞いたことがある名だわねえ」

松吉は針を進めながら、

「どこなのそこ、箱根よりかも遠いの」

「いやだ姐さん、箱根のずっとこっちよ、大山へ登る道のわかれる処ですって、江の島ってとこへもいけるんですってよ」

「その藤沢でどうしたの」

「あたしお金を持ってないでしょ、川崎って処から水ばかり飲んでったもので、藤沢までいったらふらふらになって、なんとかいう橋の袂で倒れちゃったのよ」