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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁
彼は一刀流ではかなりの腕があり、江戸市中の剣士にも顔が売れていた。だがその彼にも、あの覆面の助勢者には記憶がなかった。
「よく見る暇はなかったが、凄いほど冴えた腕のようでしたね」
と吃りながら嘉助が云った。
「一刀、一刀、じつにみごとに相手を倒していました、あのくらい使える人はそう多くはないでしょう、花田さんそう思いませんか」
「えっ、なんですか」
万三郎は考えごとをしていたので、こう訊き返してから、頷いて答えた。
「慥かにあのくらい使える人は少ないと思いますね」
「どういうことだろう」
休之助には珍しく、そのことが頭から去らないようであった。
「敵にも気づかれなかったわれわれの行動を知り、最も危急と思われるとき助太刀に出てくれた、――いったいどうしてそうすることができたのか、そこがまったくわからない、殆んど不可思議というほかはない」
万三郎は暗い海の彼方へ眼をやりながら、独りで首を振ったり、口の中でぶつぶつなにか呟いたりした。
「そのほかに思い当ることはないし思い当る人もない」
彼はそんなふうに呟いた。
「しかし、どうもそうとは思われない、あの人が突然、こんな処へ現われるわけがない、だが、いや、そのほかには想像もつかないが、やっぱりそうとは思えない」