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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁
「御身分は、――」と小林重兵衛が訊いた。
「戸田家の中老です」
戸田下総守(忠諏)はそのときの甲府城支配である。甲府城は初め城代制、次に親藩の甲府家を設け、さらに柳沢家の所領となったが、享保九年からまた幕府に直轄されて、甲府勤番支配が任命されるようになっていた。
「戸田家御家中の中老をお勤めなさる」
小林はちらと休之助を見た。それから咳をし、胸を反らせながら云った。
「じつは必要があって荷駄の内容を調べたいのですが」
「荷駄を調べる、――」
松野という武士の眼が光った。
「それはどういう理由ですか」
「役目の上の必要からです」
「ばかなことを――」
松野次郎右衛門が声を荒らげた。
「甲府勤番は老中の支配である、そこもとはいかなる職権でさようなことを要求されるのか」
「失礼ですが、――」
休之助が前へ出て、ふところから巡検使の符札を出した。
「私はこういう者です」
相手の顔色が変った。
「老中ならびに大目付から、地方巡検の命をうけて出張して来たのです、おわかりでしょうか」
七
「お役目の点はわかりました」
松野は左右へ眼をくばった。
「しかし、――荷駄を調べるというのは、なにか不審があるからでしょうが、その理由をうかがいましょう」