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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《風流太平記(ふうりゅうたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 244,473 字 · 487 頁
つまり出奔して来い、と云わんばかりであるが、万三郎は迷わなかった。休之助は信じていい人間だし、花田の兄も承知らしい。また、なによりも江戸へ帰りたかった。
――江戸へ。
彼は命令どおり、すぐに支度をして、長崎をとびだしたのであった。
「待て待て、――」
と万三郎は起き直った。
「こいつは簡単じゃないぞ」
甲野の兄はなんのために彼を呼んだのであるか。そんなにも急に、出奔して来い、というほど性急に。
「問題はそこにある」
休之助には彼が必要であった。彼を必要とするなにかがあった。ほかの人間ではなく、特に万三郎を呼ぶ必要があったのだ。
――そのことは花田の兄も承知のうえである。
役所のほうは花田の兄が手配する、というからには、長兄の徹之助も知っているのに違いない。
――花田の兄は大目付の書役である。
こう思いながら、「大目付」という役柄がふっと万三郎の関心をひいた。そこになにかある、なにか大きな問題がそこにある、ということが感じられた。
もちろん漠然とした直感にすぎない。どんな問題があるとも想像はつかないが、なにかしら大きな、しかも異常なものがある、という感じは彼の頭の中にしっかりと根を張った。