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だらくろん(ぞくだらくろん)

堕落論・日本文化私観 他二十二篇

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《堕落論・日本文化私観 他二十二篇(だらくろん(ぞくだらくろん))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,198 字 · 171 頁

青空文庫

処女の純潔などというけれども、一向に実用的なものではないので、失敗は成功の母と言い、失敗は進歩の階段であるから、処女を失うぐらい必ずしも咎むべきではなかろう。純潔を失うなどと云って、ひどい堕落のように思いこませるから罪悪感によって本格的に堕落の路を辿るようになるので、これを進歩の段階と見、より良きものを求める為の尊い捨石であるような考え方生き方を与える方が本当だ。より良きものへの希求が人間に高さと品位を与えるのだ。単なる処女の如き何物でもないではないか。尤も無理にすて去る必要はない。要は、魂の純潔が必要なだけである。

失敗せざる魂、苦悩せざる魂、そしてより良きものを求めざる魂に真実の魅力はすくない。日本の家庭というものは、魂を昏酔させる不健康な寝床で、純潔と不変という意外千万な大看板をかかげて、男と女が下落し得る最低位まで下落してそれが他人でない証拠なのだと思っている。家庭が娼婦の世界によって簡単に破壊せられるのは当然で、娼婦の世界の健康さと、家庭の不健康さに就て、人間性に根ざした究明が又文学の変らざる問題の一つが常にこのことに向って行われる必要があった筈だと私は思う。