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だらくろん(ぞくだらくろん)
堕落論・日本文化私観 他二十二篇
線上閱讀坂口 安吾《堕落論・日本文化私観 他二十二篇(だらくろん(ぞくだらくろん))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,198 字 · 171 頁
特攻隊員を再教育せよなどという心配も、単に昔ながらの小さな平穏を欲しているからの心情であり、日本がそのあらゆる欠点を暴露した敗戦泥濘のさなかに於て、彼の人生の問題がこんなところに限定されているということが、文学の名に於てあまりにも悲惨である。戦争、そして、敗北。国家の総力を傾け、その総力がすべて崩れてあらゆる物が裸体となった今日の日本に於て、その人の眼が何物を見つめ、狙い、何物を掴みだすか、ということは、興味ある問題だ。その人の内容だけの物しか狙い又掴みだすことができず、平時に瞞着し得た外見も、ここに至ってその真実を暴露せずにはいられない。志賀直哉の眼が特攻隊員の再教育などということに向けられ、ただ一身の安穏を欲するだけの小さな心情を暴露したということは、暴露せられた軍人精神の悲惨なる実体と同じ程度に文学の神様の悲痛極まる正体であった。
之に比べれば咢堂の眼は衆議院の議席からも国民の常識からもハミだしており、思考の根が人性そのものに根ざしていることを認めざるを得ぬ。彼は政治の神様と言われているが、文学の神様よりはよほど人間的であり、いわば文学的であったのである。