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だらくろん(ぞくだらくろん)

堕落論・日本文化私観 他二十二篇

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《堕落論・日本文化私観 他二十二篇(だらくろん(ぞくだらくろん))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,198 字 · 171 頁

青空文庫

文化の低いほど人は狭い垣を持つ。国民は国民同志対立し、より文化の低い藩民は藩民同志対立し、もっと文化が低くなると部落と部落が対立すると咢堂は言う。かかる対立感情が文化の低さのみを原因とするかどうかは問題だが、之は咢堂の肉体的な言葉であり、いわば自らを投げだして対立をもとめている文学的な一態度だ。日本人だのアメリカ人だのと区別を立てる必要もなく、誰の血だなどと言う必要もない。まもるに値いする血など有る筈がないのだ、と放言する咢堂に至っては、いささか悪魔の門を潜ってきた凄味を漂わしているのであるが、僕の記憶に間違いがなければ、咢堂夫人はイギリス人であった筈で、こうなると意味が違う。なぜなら純粋に日本人であり、日本人の女房をもち、日本人の娘があるとなかなかこうは言えないものだ。理論よりも本能の方が一応は強力だからである。この本能を潰して正論を掴みだすには確かに悪魔的な眼が必要で、女房や娘を人身御供にあげるくらいの決意がないと言いきれない。咢堂は悪魔の助力なしに之を言いきれる立場にいるのであるが、それにしても、この言葉が人間の一大弱点を道破しており、日本将来の一大問題を提出しているものであることは争えない。