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だらくろん(ぞくだらくろん)
堕落論・日本文化私観 他二十二篇
線上閱讀坂口 安吾《堕落論・日本文化私観 他二十二篇(だらくろん(ぞくだらくろん))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,198 字 · 171 頁
ここに個人的対立感情があって、この感情は文化の低さに由来するどころか、むしろ文化の高さと共に激化せられる如き性質を示している。即ち、原始社会に於てはむしろ個人的対立感情は低いもので、男女関係はルーズであり、夫婦とか家庭というものもハッキリしておらず、嫉妬なども明確ではない。文化の高まるにつれて、家庭の姿は明確となり、嫉妬だの対立競争意識というものは次第にむしろ尖鋭の度を示しているのである。
我々小説家が千年一日の如く男女関係に就て筆を弄し、軍人だの道学先生から柔弱男子などと罵られているのも、人生の問題は根本に於て個人に帰し、個人的対立の解決なくして人生の解決は有り得ないという厳たる人生の実相から眼を転ずることが出来ないからに外ならぬ。
社会主義でも共産主義でも世界聯邦論でも何でも構わぬ。社会機構の革命は一日にして行われるが、人間の変革はそうは行かない。遠くギリシャに於て確立の一歩を踏みだした人間性というものが今日も尚殆ど変革を示しておらず、進歩の跡も見られない。社会組織の革命によって我々がどういう制服を着るにしても、人間性は変化せず、人間性に於て変りのない限り、人生の真実の幸福は決して社会組織や制服から生みだされるものではないのである。