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だらくろん(ぞくだらくろん)
堕落論・日本文化私観 他二十二篇
線上閱讀坂口 安吾《堕落論・日本文化私観 他二十二篇(だらくろん(ぞくだらくろん))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,198 字 · 171 頁
共産主義者などは徒らに枝葉の空論をふりまく前に、先ずこの人性の根本的な実相に就て問題を展開する必要があった筈だ。咢堂の世界聯邦論がこの根柢から発展していることは、一つの思想の重量であって、日本の政治家にこれだけの重量ある思想の持主はまずないだろう。この重量は人間性に就ての洞察探求から生れるもので、彼の思想が文学的であるのも、この為だ。
けれども、ここに問題は、部落的、藩民的、国民的限定を難じ血の一様性を説く咢堂の眼が、更により通俗的な小限定、即ち「家庭」の限定に差向けられていないのは何故であろうか。
家庭は人間生活の永遠絶対の様式であるか。男女は夫婦でなければならぬか。国家や部落の対立感情が文化の低さを意味するならば、家庭の構成や家庭的感情も文化の低さを意味しないか。咢堂はこれらのことに就てはふれていない。そして僕の考えによれば、人間の家庭性とか個性というものに就て否定にせよ肯定にせよ誠実なる考察と結論を欠き、いきなり血の一様性や世界聯邦論へ構想を進めることは一種の暴挙であることを附言しなければならぬ。
部落的、藩民的、国家的な対立感情を取除くことによって全ての対立感情が失われるかといえば、決してそうは参らぬ。