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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁

青空文庫

「おかしいと、誰がいった」

「今、いったじゃありませんか」

「…………」

「男のくせに――」

と、お甲は、灰をかぶせたように黙ってしまった男の顔をにらんで、

「嫉いてばかりいるんだから、ほんとに、嫌になっちゃう!」

そして、ぷいと、

「朱実、気ちがいに関ってないで行こう」

又八は、その裳へ、腕をのばした。

「気ちがいとは、何だっ。――良人をつかまえて、気ちがいとは」

「なにさ」

お甲は振り退けて、

「亭主なら、亭主らしくしてごらん。誰に食わせてもらっていると思うのさ」

「な……なに……」

「江州を出て来てから、百文の金だって、おまえが稼いだことがあるかえ。私と、朱実の腕で暮して来たんじゃないか。――酒をのんで、毎日ぶらぶらしていて、どう文句をいう筋があるえ」

「だ……だから俺は、石かつぎしても、働くといっているんだ。それをてめえが、やれ、まずい物は食えないの、貧乏長屋はいやだのと、自分の好きで、俺にも働かせず、こんな泥水稼業をしているんじゃねえか。――やめてしまえッ」

「何を」

「こんな商売」

「やめたら、あしたから食べるのをどうするのさ」

「お城の石かつぎしても、俺が食わしてみせる。