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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁

青空文庫

人数はというと、およそ三十名近い。

そのうち約半数は僧であり、あと半数ほどは雑多な牢人者の群れなのである。丘の肩を越えてこの野の沢から般若坂へぬけてゆく道の、その丘の上に、今、武蔵の姿が現われたのを認めると、

(うむ!)

声としては出ない一種の殺伐な動揺めきが、その群れの上に漲りわたった。

しかも、武蔵の手には、すでに血を塗った剣が提げられている。戦闘は、お互いのすがたを見ぬ前から口火を切ってしまったのだ。それも、待ち伏せていた多勢のほうからではなく、計られて来たはずの武蔵のほうから宣戦しているのだ。

野洲川、大友の二人は、

「――山添が、山添が」

と早口にいって、仲間の一人が、すでに武蔵の刃にかかって仆れたことを、大仰な手つきで告げているらしく見える。

牢人たちは、歯がみをし、宝蔵院の僧たちは、

「小癪な」

と、陣容を作って、武蔵のほうを睨めつけた。

宝蔵院衆の十数名は、みな槍だった。片鎌の槍、ささ穂の槍、思い思いの一槍をかいこんで、黒衣のたもとを背にむすび、

「――おのれ、今日こそ」

と、院の名誉と、高足阿巌の無念を、ここでそそごうとする宿意が、もう面も向けられない。