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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁

青空文庫

程経て後のそこには、最前新陰堂に坐っていた客と主人側だけの頭数だけが残っていた。

けれど、今はもう、主客のあいだがらは一変して、狼藉者と裁く者との、対立である。敵対である。

「武蔵とやら、気の毒ながらそちらの計策は破れたぞ。――察するに、何者かに頼まれ、この小柳生城を探りに来たか、或は御城内の攪乱を目論んで来たものに違いあるまい」

四名の眼は、武蔵をかこんで詰めよるのであった。この四名のどの一人でも達人の域に達していないものはないのである。武蔵は、城太郎を小脇に庇いながら、根が生えたように、同じ位置に立っているのであったが、仮に今、この場を脱しようと考えても、それは身に翼を持っていても、こう四名の隙を破って逃げ去ることは難しいだろうと思われた。

出淵孫兵衛が、次に、

「やよ、武蔵」

鯉口を切った刀の柄を、やや前へせり出して、構え腰をしていった。

「事破れたら、いさぎよう自決するのが武士の値打だ。小柳生城の中へ、童ひとりを連れて、堂々と、入り込んでござった不敵さは、曲者ながらよい面がまえ。それに、一夕の好誼もある。――腹を切れ、支度のあいだは待ってやろう。