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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁

青空文庫

「じゃあ、俺たちは、やっぱり故郷へ帰ると決めるか」

「帰ろうぜ。――いつまで、あの母娘と一しょに暮しているわけにもゆくまい」

「ウム」

「女はきらいだ」

武蔵が、いうと、

「そうだな、そうしよう」

又八は、仰向けにひっくり返った。そして青空へ向って、どなるように、

「――帰ると決めたら、急に、おら、お通の顔が見たくなった!」

脚を、ばたばたさせて、

「畜生、お通が、髪の毛を洗った時のような雲があるぞ」

と、空を指さす。

武蔵は、自分の乗りすてた野馬の尻を見ていた、人間なかまでも、野に住む者の中にいい性質があるように、馬も野馬は気だてがよい、用がすめば、何も求めず、勝手にひとりでどこへでも行ってしまう。

むこうで、朱実が、

「御飯ですようっ――」

と、呼ぶ。

「飯だ」

二人は起き上がって、

「又八、馳競ッこ」

「くそ、負けるか」

朱実は、手をたたいて、草ぼこりを立てて駈けてくる二人を迎えた。

――だが、朱実は、午すぎから急に沈んでいた、二人が、故郷へ帰ると決めたことを聞いてからである。二人が家庭に交じってからの愉快な生活を、この少女は、この先も長いものと思っていたらしかった。