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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁

青空文庫

ふと、お吟のうしろを仰ぐと、燈明皿に、小さな灯がまたたいていた。そこの仏壇には、彼女が書いたものらしく、

行年十七歳 新免武蔵之霊

同年    本位田又八之霊

ふたつの紙位牌が貼ってあり、ささやかな水と花とが捧げてあるのだった。

「あら……」

お通は、眼をしばたたいて、

「お吟様、おふたりとも、死んだという報らせが来たのでございますか」

「いいえ、でも……死んだとしか思えないではございませんか、私は、もうあきらめてしまいました。関ヶ原の戦のあった九月十五日を命日と思っています」

「縁起でもない」

お通は、つよく顔を振って、

「あの二人が、死ぬものですか、今にきっと、帰って来ますよ」

「あなたは、又八さんの夢を見る? ……」

「え、なんども」

「じゃあ、やっぱり死んでいるのだ、私も弟の夢ばかり見るから」

「嫌ですよ、そんなことをいっては。こんなもの、不吉だから、剥がしてしまう」

お通の眼は、すぐ涙をもった。起って行って、仏壇の燈明をふき消してしまう。それでもまだ忌わしさが晴れないように、捧げてある花と水の器を両手に持って、次の部屋の縁先へ、その水をさっとこぼすと、縁の端に腰をかけていた沢庵が、