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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(一)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 頁

青空文庫

「さ……早う裏へ廻れ、人が来たらどうもならぬ。……手拭は持っていやるか、風呂を浴みている間に、そうじゃ、又八の肌着や小袖もある、それを出しておいて上げよう、飯の支度もしておこう。……ゆるりと、湯に浸っていたがよい」

紙燭をわたして、お杉は奥へかくれた、するとすぐ分家の嫁が、庭から、どこへやら走って行ったようであった。

戸の鳴った風呂小屋の中には、湯の音がして、明りの影がゆらいでいる、お杉は母屋から、

「湯のかげんは、どうじゃな」

と声をかけた。

武蔵の声が、風呂場から、

「いい湯だよ。……ああ生き甦ったような気がする」

「ゆるりと、温まっていたがよいぞ、まだ、飯が炊けておらんようじゃ」

「ありがとう。こんなことなら、早く来ればよかったのだ。俺はまた、おばばが、きっと俺を怨んでいるだろうと思ってな……」

欣びに溢れた声が、それからも湯の音に交じって二言三言していたが、お杉の返辞はしなかった。

やがて、息をせいて、分家の嫁が門の外までもどって来た。――後ろに、二十人ほどの武士や山狩の者を連れている。

外に出ていたお杉は、低声で、その人々へ何か囁いた。

「なに、風呂小屋へ入れておいたと? そいつは出来した。