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しそうとしてのぶんがく

思想としての文学

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《思想としての文学(しそうとしてのぶんがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 209,809 字 · 408 頁

青空文庫

処が哲学が持っているこうした方法上の特色が、やがて、哲学の叙述方法を他の諸科学の叙述方法とは可なり異った独特なものにするのである。社会科学の本格的なもの乃至本格的な部分は、内容から云っても方法から云っても、可なり哲学に接近しているから、これの代りに自然科学の叙述様式を例に採って見れば、之と哲学の叙述様式との相違は明らかになる。――無論どんな叙述でも広い意味での言葉乃至文章による他に道はない。数学式や記号も一種の文章や言葉であることは云うまでもないのである。だが数学式や記号が普通の文章や言葉でないことも、同様に明らかだろう。どこが違うのかと云うと、数学式や其の他の形式的な定式的表現に出てくる記号は、丁度数学の場合に一等純粋に現われるように、何等かの便宜的な人工的な約束によって決められたものなのであって、数学ではこの約束を定義とか公理とか云っているが、自然科学などではこの人工的約束による言葉(即ち記号)を使って定式や普通の文章の構成中枢とするのである。例えば重さがいくらという普通の言葉による普通の文章は、物理学的には、人工的にそして数的に定義された重量という記号化された言葉を枢軸として、定式で叙述したり或いは普通の文章で叙述したりする。