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しそうとしてのぶんがく

思想としての文学

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《思想としての文学(しそうとしてのぶんがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 209,809 字 · 408 頁

青空文庫

範疇乃至範疇組織は、任意の術語を必要とする哲学者が便宜的に工夫して伝えられたものでもなければ、ましてその時々に勝手に対象に対応させさえすれば出来上るというものでもない。範疇は歴史性と社会性とを有っている、と一応言っておこう。

併しここから哲学叙述に特有な一つの問題が発生する。今も云ったように哲学的範疇は歴史的に変化するのだから、時代によって異った哲学範疇が存することは少しも不思議ではない。そして範疇の変化が有り興亡があるということは、前の範疇が何かの原因と理由とによって役に立たなくなって、新しい範疇が順次に部分的に、或いは可なり一遍に、之に代ったことを意味する。当然之は社会の推移に対応するのであるが、過去の社会組織が今日の社会組織と可なり根本的に異るのを吾々は知っていると同様に、古い範疇組織と新しい夫とは可なり別なものになっている。過去の社会が現在無くなっているように、過去の範疇は死んだものであって、生きて論理的乃至哲学的な働きをしているものは現在する種類の範疇だけなのだ。範疇のこの生死・淘汰を問題にするのが、範疇論の本来の役目でなくてはならぬ。