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しそうとしてのぶんがく

思想としての文学

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《思想としての文学(しそうとしてのぶんがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 209,809 字 · 408 頁

青空文庫

処が生物の発展に従って古生物も現代に生きている生物への発展系統樹の内に並べられねばならぬように、過去の死んだ範疇と雖も現在の生きている範疇と無関係ではない。そこで過去の範疇を現在の範疇に出来る限り翻訳する仕事が、文献学(往々言語学とか博言学とか訳されるが)の使命である。この際文献学は範疇論から来る論理学的条件を無視するならば、単なる史料編纂に終るのであって、そこから救うべからざる論理学的乃至哲学的根本誤謬を惹き起こす危険を持っている。例えばギリシアや或いはもっと系統の違った支那や印度の古代哲学の範疇を、範疇論的に検査しないで単に文献学的に取り扱っていると、往々にして、現代に於ける諸問題を、こうした古代的範疇で処理したりなどしたくなるのである。仏教学者の哲学概論や漢学者や国学者の社会理論などが之だ。誤謬は、古代的範疇を現代的カテゴリーにまで翻訳しないでそのまま使えると思っている処にあるのである。

之は歴史上の云わば縦の翻訳だが、この関係は当然地理上の横の翻訳と連関している。国語の違う諸民族が夫々使っている範疇体系は、之をお互いに翻訳しない以上決して国際的通用性を得ることは出来ない。