輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《故郷七十年(こきょうしちじゅうねん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 頁

青空文庫

今は滅多に用もない小島だが、昔の航海では、大変重要な所であった。そこまで西南の風に乗ってやって来て、今度は西北による様な風で動かなければならない中継の所で、風が六十度だか八十度だか変る間、待つことになっている、大事な小さい港がある。昔は遊女屋もあって歓楽の島であったが、汽船になってからはどうなったことかと興味深く、この島に船をつけてもらった。若いころ一ぺん来たきりだとか、いまでもオナゴらがいるかしらとか、船員たちが口々にいいながら、近づくに従って望遠鏡でのぞいて、「おります、おります」というのである。黒い縞の着物をきている中に、中形の洗い晒した浴衣をきた婆さんがまじっていた。それが昔は栄えていた遊女の名残りで、望遠鏡で沖からみてもそれと判る姿であったが、今は完全に島の人になりきっていた。それから何か話をきいてみようと思って、岡の上の小学校へ行ってみた。四十あまりの教員がたった一人昼寝をしていたが、赤い下帯一つで寝ているので、起すのも気の毒と、そっと下りてきたのを憶えている。

それから広島の宮島に行って碇泊した。船員にご馳走しようと思って宿屋に交渉し、引返してみると、いつの間にかその船はいなくなってしまっていた。