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ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく
文化史上より見たる日本の数学
三上 義夫
線上閱讀三上 義夫《文化史上より見たる日本の数学(ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,999 字 · 192 頁
至時、重富等が剛立の門に入って益々その研究を進めた。これがためにわが国の暦学は一大革新を遂げたが、幕府は江戸の天文方がよくなすなきをもって、これを召し出してそのことに当たらしめたのである。この時伊能忠敬が高橋について学ぶに至り、高橋は星学研究の必要上から伊能の測地事業を推挙し、そうしてラランデ暦書の訳解の事業も天文方の手で遂行されることとなり、それから暦局内に翻訳局が設けられ、一方に高橋景保、渋川景佑等の手で『新考暦書』等が作られ、一方には訳官の人達によって『厚生新編』のごとき大部の書の翻訳書が作られ、ここにおいて蘭学の発達は極めて著しいものとなった。この事業は天文暦術の関係が、最も主要な基底を成して進んだのであり、それから他方面のことが付随したものであったことが、決して見逃してはならないところであろうと思う。
この翻訳事業において天文暦術書中に西洋数学に接触したことの多かったのはいうまでもないのであるが、しかも数学の関係においては、さまで重大な影響をしたらしくもないようである。これは天文方の暦学者と当時の専門算家との間に密接な関係が乏しかったからでもあろうが、また双方ともに密接に関係を結ぶことを心がけたらしい形跡もないのである。