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ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく
文化史上より見たる日本の数学
三上 義夫
線上閱讀三上 義夫《文化史上より見たる日本の数学(ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,999 字 · 192 頁
ずっと後の時代になっても必要の分子は常に離れ去ることがなかった。しかし実用のない方面に進歩した。もはや実用上の必要のみによりてその進歩を説明することはできない。ここにおいて趣味の問題として学修されたことが大いなる原因になったことが知られるのであるが、和算家が如何なる地位を保ち、如何なる人物が和算に従事したかを考えるときは益々趣味に生きたものなることが明瞭になろう。
和算家には種々の階級の人があるけれども、士族が最も多い。これは士族は遊食の民で余裕の多かったことも一原因に相違ない。けれども士族階級のものは算盤を手にすることさえ卑しんだものである。勘定を卑しむ風のできたのは何時頃からかは知らぬけれども、士族は扶持に生きて他の仕事に手を出すべき性質のものでないから、経済のことなどには迂闊になったのと、また一方にはこんな階級の連中が勘定高くなっては統御に困るところから益々経済に迂闊になるように奨励したのではないかとも思うが、ともかくも算盤を卑しんだのは事実である。算盤を卑しむから数学も卑しまれる。従って士族であって数学を修めたものは親には叱られる。友達には馬鹿にされる。