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ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく
文化史上より見たる日本の数学
三上 義夫
線上閱讀三上 義夫《文化史上より見たる日本の数学(ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,999 字 · 192 頁
和歌が平民的嗜好の産物といい得るなら、和算もまた国民嗜好の産物であったといい得られよう。
和歌もしくは俳句ははなはだ短篇であって、神意即妙、感ずるままに口に従って出で、筆に拠りて成る。そして何人でもこれを作ることができる。いわば国民ことごとく詩人たり得るのである。いずれの国でも長篇名作はあろう。国民のあまねくこれを謡い、これを楽しむことはできる。けれども何人でも詩人たり得るものではない。漢詩は短いには短いけれども、何人でも作り得ざるにおいては他国の詩歌と同じく重厚である。ひとり和歌、俳句に至りては軽快であって情味に秀でている。その間に何等理智的なものを挟まぬ。そこに日本の特色が現われている。
和算は趣味の問題たるにおいて和歌と同じい。日本人は元来趣味に生くるものである。故に碁でも、将棋でも、剣術柔道にしても、茶の湯や琴、三味線にしても、文学美術にしても、従って国民的の嗜好としてあまねく行き渡っている。この趣味の国において初めて和歌があんなに発達し得た。そうしてそこに和算が発達した。和算は全く和歌も同様な精神でできている。歌を詠むからといって、人にあまり尊ばれるわけでもないが、和算も同様にこれに通ずればとて、さまで尊ばれたのでない。