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ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく
文化史上より見たる日本の数学
三上 義夫
線上閱讀三上 義夫《文化史上より見たる日本の数学(ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,999 字 · 192 頁
これには哲学上の状態もまたもとより関係しているが、物理学または力学の考えが進んで来なかったということは争われないのである。こんな事情であったことは日本の数学上に大いなる関係がある。
和算の発達上円理は最も重要視されるもので、西洋の微積分学にも比較されるのであるが、この円理の様式が今いった事情によって著しく限定されている。西洋の微積分学は運動のことを論じたり、曲線へ接線を引くことなどの問題から誘発されて、極微部分の性質を考うることが大いにあずかっているけれども、日本では弧の長さまたは面積という場合に限られて、定積分の格段の場合というようなものしかできてこない。従って西洋で微分学も発達し、また不定積分も考えられたのと同様にはならなかった。これは単に結果を得るだけが眼目であって、定積分を使用して試みたのと同じような結果はずいぶん巧みに得ているけれども、積分学といったような立派な学科になることもできなかったのである。
こんな結果になるのは物理学の考えが足らないで、誘発された問題の違っていることが一大原因であろうが、また一つには哲学思想の貧弱であったことが原因になったということができよう。