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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 頁

青空文庫

何ぞ御用なれば、政孝に仰せつけ下さいましょう」

「そうか。……いやその方でもよい。お城まで供して来い」

「お城へ。お城へお上がりになられますか」

「やはり退去の前に、いちど信長公に御挨拶して去るのが穏当であろう。支度せい」

その決意のまた鈍らぬうちにと、強いて自分を駆り立てるように、光秀はすぐ身づくろいに起ち上がった。

政孝は、うろたえ顔に、

「夕刻、或いはそのために、御登城もあろうかと、御意を伺いましたところ、急の御命、登城しているいとまもない。右大臣家へも徳川殿へも御挨拶せずに立ち退くとの仰せに、実は、お供方にもその由を伝え、御小人もすべて跡かたづけの方にかかっております。……しばし、しばらくのあいだ、お待ちねがいとうぞんじまする」

「いやいや、供人など、多くは要らぬ。そちひとりでも足る。馬を曳け」

光秀は、玄関へ出た。

そこまで通って来るあいだの部屋にも家来のすがたはなかった。ただあわただしく、二、三の小姓が従いて来たのみである。

しかし一歩外へ出ると、そこらの木蔭やら厩の蔭などに、三々五々とかたまり合って、何事か額をあつめている家中の者の影が黒々見えた。