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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 頁

青空文庫

蘭丸が来て告げた。

「博多の宗室どのと宗湛どののお二人が、いつなとお越し賜わるようにと、お茶室の方にひかえられておりまする」

「もう見えていたのか」

「まだ明るいうちから見えられて、お茶室から露路の掃除、縁の雑巾がけまで、すべて人手を借らずお二人でなされ、宗室どのは水を打ち花を活け、宗湛どのは自身台所へ出られて、さし上げるお膳部のおさしずをなさるなど、傍目にも並ならぬお心入れのようでした」

「なぜ告げなかったか」

「いや、御両所のおことばには、席は御宿所でもお招きは我らでいたすこと、われらの亭主役なれば、構えて時刻までは、お取次なくとの仰せに、わざと申し控えておりました」

「なんぞまた、趣向しているとみゆるな。信忠にも伝えたか。長門にも」

「これからお誘いに参りますので」

蘭丸が去ると、信長は一室に入って、すぐまたその足を一坊の茶室へ向けた。

特に数寄屋めいた建物はない。席は書院であり、屏風をめぐらして小間囲いを作ってある。

客は信長、信忠、村井春長軒父子、燭はすずやかに、囲いのうちは、人もなきかの如くひそやかであった。

けれどやがて茶事もすんで、広間へ座を移すと、客なく亭主なく、話は果てなく弾み、夜の更けるのも忘れているかのようであった。