輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 頁

青空文庫

翠竹院の号はその折、叡覧の光栄に浴したうえ、彼の本邦医学に寄与した功労を嘉したもうて、朝廷から下賜あらせられたものとか、都の人々も聞いている。――で、俗称するは勿体ないとしてであろう、又学舎が通り名になっていた。

「なぜ、門を閉めるか」

その本邦医学の泰斗、曲直瀬道三は、今暁からまだ朝飯もたべていないはずである。上着のもろ肌を脱ぎ、下着の袖を片だすきに結んで、多くの門下生を指揮し、いまや屋の下にみちている多くの負傷者を、ひとりひとり手当していた。

「開けておくと女子供までが覗きに寄って、うるさくてかないません」

門生が、外で答えると、

「往来の者が覗くぐらいは、邪魔にもならん。まだまだ落人も通ろう。怪我人もよろ這うて通ろう。門を閉じておいては、それらの衆が気づかずに過ぎてしまう。――容れる場所がなかったら薬干し場へも莚をしいて、はいれる限りお容れせい」

道三はそう告げてから、また諸所に横臥している怪我人を見まわった。金創の洗滌やら、繃帯やら、くすり塗布に当っている門生たちと共に、自分も負傷者の治療へかかった。

彼のきれいな白髯は、負傷者の血しおに染み、彼の懸命な面には、空腹を喞つ容子もなく、また、天下の大乱すら知らないもののようだった。