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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 頁

青空文庫

幸いにも、又学舎には、たくさんな門生がいた。もともとここは、道三が後進を誘掖すべく興した医の塾だからである。

それらの若い学徒を励まして、門をひらき、全舎を提供して、ここに本能寺の負傷者や二条城の合戦からよろ這い落ちて来る武者たちを収容し始めたのは、実に、戦いが始まると同時の夜明け頃からだった。

一しきり、風が西へ変ったころは、この辺、風下になったので、附近のやしきでは、火の粉をおそれ、避難の準備に恟々としていたものだが、曲直瀬道三は、

(燃え移って来たら、怪我人を負うて先へ移ればよい。それまでは)

と、学生たちを外に立たせて、怪我人をかかえ入れ、眼のまわるような忙しさに、この半日を、ほとんど、われなく人なく、必死の治療に過していたのだった。

初め、ここの医学生たちは、

「明智の兵など容れるな。逆賊の家来などを手当する医学は学んでいない……」

などと昂奮にまかせて罵り合っていたものだったが、師の道三から、

「ばかを申せ。わしは仁なき医学を教えた覚えはない。明智の家来とて、主に仕え、その主に命じられた以上、まことにやむを得ないことであったろう。何も知らぬ軽輩ほど、それと知ったせつなには半狂乱にもなり、死にもの狂いに戦ったことであろう。