輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《梅里先生行状記(ばいりせんせいぎょうじょうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 209,260 字 · 418 頁
「逃がしたのは、不覚だったにちがいないが、何もそう大げさなものでは」
「ちがうちがう。老公のご身辺におるものが、そんなあき盲でどうする。いったい老公が、なんのゆえに、副将軍なる位置を退いて、急にご隠居なされたか、そこを弁えておるか」
「綱吉将軍は、老公がけむたいし、老公は事々に、いまの紊れきった幕政に、眉をひそめていらっしゃる。その衝突を、ご自身からきれいにお躱しになったのであろう」
「その程度ならたれも知っていることだ。お身近にいるわれわれでなくても」
「もっと微細にわたれば、綱吉将軍のお世つぎに、老公は甲府どのをおすすめになり、将軍家のご意中では、紀伊どのを望んでおられた。それへまた幕府の嬖臣柳沢吉保が、老公をのぞくために、大奥と将軍家の陰に立ちはたらき、老公をして、身を退くのほかない窮地にまで追いつめたものと――みな観ておるが」
「そんなことも、一徳川家のくだらない家庭問題、老公のあの豪気が、それしきの煩わしさに敗れてお退きになるはずはない」
「では、なんだ?」
「老公はな……」
急に声を落して、又四郎はあたりを見まわした。棒のごとく太い神経の男が、注意ぶかい眼ざしですり寄って来たので、林助はすこし気味わるかった。