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ぜにがたへいじとりものひかえ

橋の上の女 ――銭形平次傑作選2

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《橋の上の女 ――銭形平次傑作選2(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 88,573 字 · 178 頁

青空文庫

平次もツイこう乗出しました。お夢にその美しさの外に、妙に人の心を惹くいじらしさがあったのです。

「少し風邪の気味で、いつもより早く休みました。酉刻(六時)少し過ぎ、木戸を閉める前だったと思います」

正月と言っても松が過ぎると、薄寒い日などは客の追い出しが早く、芸人たちはそれから湯へ入ったり、夕飯にしたりするのですが、お夢はゾクゾクするので、その落着かない空気の中で、自分の床を敷いて寝てしまったというのです。

「不意に――本当に不意でした。うとうととした私の上へドタッと重いものが落ちて来て。それと一緒に恐しく熱いもの――後でそれは灰と湯だとわかりましたが、滝のように頭へ振りかかりました。私は幸い布団を冠って寝ていましたので、大した火傷もありませんでしたが、それでもこの通り――」

とお夢はひどくやられた髪の毛と、額から首筋へかけての火傷などを見せるのです。女が好いだけに、それは実に痛々しい姿です。

「一番先に駆けつけたのは誰だ」

「お鈴さんでした。二階から飛んで来てくれたんです」

「お鈴さんというと?」

「綱渡りの名人ですよ。呼んで来ましょう」

八五郎が舞台の方へ行くと、