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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《江戸三国志(えどさんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 頁
時ならぬ水煙です。しかもまだ薄ぐらい明け方。
そこへわらわらと飛んで来た人数は、折よく竹橋御門の外を通りかかった宗門奉行井上河内守とその配下でした。
忽ち、濠の水面へ、分銅繩が飛ぶ、刺又がさぐる。そうして、組み合ったままの二つの人体を、陸へ引揚げました。
金吾と日本左衛門です、二人ともに気を失っている、そしてぬれしずくな乱鬢と、蒼白になった顔や腕の傷を見ますと、二人がいかにはげしい水中の格闘をやったかが想像されて、見るものの眼を慄然とさせる。
来合せた井上河内守は、この遭遇が、折よくもあり折悪しくもありました。なぜかというに、彼は前日から命をうけて、切支丹屋敷のお蝶の体を、平河口の不浄門でうけとることになっていました。
この未明に、早出のくり出しはそのためです。しかし、そこで約半刻ほどの時間を費やしてしまったのは、事情まったくやむを得ないと言わなければなりません。
* * *
それより少し前に、中坊陽之助を先にたてて、本丸を出たお蝶の不浄駕が、平河口の犬くぐりから外濠へ来たのは、まだ人の顔もさだかに見えない頃でした。
「まだ宗門方の者は来ておらぬようだ、約束よりは、少しこっちの方が時刻が早かったかも知れぬ」