輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《江戸三国志(えどさんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 頁

青空文庫

得てこういう日には、ちぐはぐな事が多いものだ。

お蝶さんに袂でぶたれるなんていうのもその辻占かも知れない。

忍川の晩以来、どこも大嫌いな十手だの御用提灯だの、岡ッ引くさい眼だのが、そちらにチラついている気がしていけない。まずこんな日はおとなしく、宿の二階にでも閉じこもっているに如くはありません。

なまはんか易占なぞをやるせいか、悪党らしくもなく馬春堂、きょうはばかに弱気であります。徳川万太郎の姿を仁王門の前に見たのさえ、なんとなく小気味わるく思われて、こそこそと宿の筑波屋へ戻ってゆく。

筑波屋の前は、早くも日暮を思わせて、宿についた、早駕、四ツ手が木の下にズラリと埋まっていて、この陽気なのに、汗をふいているかごかきや、上がり框でわらじを解いている旅客やで、帳場はひとしきりの混雑です。

お帰ンなさいまし――とも迎えられずに、馬春堂は幅の広い梯子段をふんで、ちょッと戸惑いをしそうな裏二階の一間へ来て、襖を引こうとしましたが、

「おや?」

何か閾につかえるものがあって、ガタガタゆすぶってみたがあきません。

また、「変な日」の迷信が頭にこびりついて来て、部屋違いをしたかしらと、廊下の曲りを考えましたが、やはりここは自分の部屋に間違いはないのです。