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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《江戸三国志(えどさんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 頁
「じゃ、使命を孫子に伝えて行くというのか」
「いかに羅馬から密使やばてれんをこの国へ運んでも、異教という邪魔ものや、風俗のちがう不便がある。しかし、子の代、孫の代になれば、その差別もなくなるし、切支丹屋敷から出ることも許されると思う」
「なるほど……その話はもっともらしく聞こえるが。じゃ二官、おぬしはまず第一に、たれにその使命を伝えるつもりでいるな」
「娘のお蝶へ」
「あれは美しい悪魔だ」
「なにッ」
「あの妖婦、あの毒の花のような娘へ、夜光の短刀を探せよといいつけて、おぬしは今の考えが順当に孫子へ伝わってゆくと思うのか」
「ウウム……」
「わしは見ていたぞ、この石室の鉄窓から。――毎夜毎夜お蝶と仲間の龍平が、そこらの闇にみだらな恋をしていたのを。また、官庫の方であやしい挙動のあった事も、わしは残らず知っていた。あれは飛んでもない神様のいたずら、すなわち、神を踏みにじッた返報に、おぬしへ与えられた美しい悪魔だよ、それへ大事な使命を伝えてゆくなんて、あッはッはははは……あはははは」
さんざん面罵しぬいた揚句に、ヨハンは大声で笑いましたが、ふと馳けた足音に外を見ると、もう二官の姿はそこを去っていました。