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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《江戸三国志(えどさんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 頁

青空文庫

定めし、おやじの中将綱誠や兄貴の継友もそのお仲間に交じッて、すこしでも尾張に歩のいいような主張をしているのだろう。

――などと考えて、枕の上のかれの顔が、ひとりでニヤリと笑みくずれる。

いや待てよ。

あの野心鬱勃たるおやじの中将綱誠が、歩のいい主張ぐらいで止めていればいいが、魔がさして、一ツ尾張からお世嗣をなどと大それた気を起したひには大変だ。それこそ他人事ではない。尾張で体のあいている息子は、かくいう万太郎一人きりだ。

――ひょッとして、そういう事がないともいえない、なかなか可能性がある。子の心親知らずで、丁字風呂の赤い夜具にくるまっている御曹子の心事も知らずに、おやじがムキになっている顔が目に見えるような気もして来る。

真ッ平、真ッ平、願わくばそんな風よ、向きをかえて、水戸へでも紀州へでも吹いて行け。

紀州はいいな。

そうだ紀州はいい。

今日途中で会った吉宗なら将軍様にもッてこいだ。素行はよいし、聡明だし、武芸文事にも熱心だし、周囲もうしろだても、しッかりしている。

それより何より本人に充分色気があるようだ。今日会った時馬上から、「やあ、尾張の七男坊」