輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《江戸三国志(えどさんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 頁

青空文庫

「いや。そうか」

というと、万太郎は忽然とそこを去りました。

そして、かれの足は御府外の方へ向く。

武蔵野原を北に歩んで尽くところ、北多摩の山の尾根と、秩父連峰のなだれが畳合っている辺に、峡谷の郷が幾つもあるそうです。

高麗の郷高麗村というのは、その峡谷の首村であり、御隠家様の屋敷がある所と、かれは今、堂番の男につぶさに聞いてまいりました。

途中、街道の古びた草紙屋で見つけて買い求めたのは、一冊の懐中絵図――その頃、まま版行された道中細見、あるいは、御府外名所手引などの類でありましょう。

のろのろと往還する牛飼、野菜車、馬子、旅人、薬師詣での人たちの中に交じッて、平坦な街道を歩みながら、その懐中絵図をひろげて見ましたが、高麗村という名は見当らない。

けれど、女影ヶ原、久米川の流れ、北多摩の山裾などをたどり見ますと、おぼろにその方角だけは察しられますので、尋ねて尋ね当らぬこともなかろう。

武蔵一円の石神の司祭者、高麗の御隠家様とは何者か知らぬが、銭瓶の穴から持去った洞白の仮面と「ばてれん口書」は明らかに自分の品、正当に理由をのべて返してもらうに憚る事はない。