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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《江戸三国志(えどさんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 頁
これには、遊びに夢中でいたお粂のあたまも、はッと水を浴びたようにさめました。――騒ぎはそれからで、風呂に出かけた女弟子たちを呼びもどすやら、二階にいる男に来てもらうやら、何しろ、その金は、座員の生活費であり、先へ旅立つ路銀でありするのですから、お粂の当惑のみならず、嵐一座の死活問題であります。
「そういえば、伊兵衛さんと先生はどうしたろう?」
「お。あの二人が影を見せない」
そのうちに、たれかがこういい出したことによって、たった今まで、その二人が上がり口で昼寝をしていたと分りましたから、
「もしや?」
とお粂が戸棚の隅々をあらためてみると、馬春堂の浴衣やら伊兵衛の衣類などがまるめてあって、笠や何かの旅支度が、ちゃんと二人前だけ減っています。
さては、飼犬に手を噛まれたのか。――持ち逃げの下手人はボロ易者と道中師。
そんなものを楽屋に飼っておいたから悪いのだと、お粂はあきらめをつけましたが、あきらめないのは飯を奪われた一座の者です。「それ、今逃げたばかりだッていうから、二人のやつを追いかけて取り返せ」
と、手分けにかかって、飛び出しました。
折も折です。