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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《江戸三国志(えどさんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 頁

青空文庫

寝首をかくよりもこいつア楽です」

「……して、それから?」

「ちょうどあっしも曲独楽の小屋にいて、その打合せを小耳にはさんだので、やつらが諏訪の森で仰山な支度をしているまに、お先に廻って、お粂の家からあなたの体をかつぎ出し、この医者様の玄関に抛り込んで、すぐ取って返して押入にもぐっていたものです。――あとは出たら目な血煙騒ぎ、暗やみじゃあるし、先じゃあっしを、金吾様だとばかり思っているので、よっぽど勝目がありましたよ」

「おお、そうだったか……」

「それから、そいつをよいの口あけに、イヤ歩いたのなんのッて、こんな歩いた晩はねえ……」と、これは金吾に話すよりも、ここまで仕事をこぎつけたという、ほっとした気持が、自然に口から出て自分をなぐさめたつぶやきです。

「で、金吾様。……もし」

「おう」

「まだあります、よろこんでもらう事が」

「礼を申したい。今、ここの畳をめくるから、暫く待て」

「いえいえ、話は聞こえます。畳なんぞをあげて、もしほかの者が目をさまし、怪しいやつと騒がれては大変です。どうか、このまま聞いてください。……ようがすか。……明日の晩、九刻ごろ、甲府の南、城下端れ、荒川べりの寺町――分りましたか、そこの鼻寺というところの近くであっしを待っていてください。