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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《江戸三国志(えどさんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 頁

青空文庫

「どうだ、みんな」

一同へはかると、雲霧、四ツ目屋、稲吉にも、それには異存がないと言う。

「――じゃこうしよう。もうやがて、お蝶がここへ来る時刻だからそれを取ッちめたら明日を待たず、今夜のうちに甲府境を出てしまおう」

「するとかごがいりますね。まさかお蝶をひッかついでも歩けますまい」

「あの女が、おれのことばに、なんというかあわからないが、もしジタバタするようだったら、猿轡にかごという支度よりほか仕方があるまいな」

「無論、騒ぎ立てるにきまっております。じゃ法達、その用意をしておいてくれねえか」

「かごですか」

「そうだ、かご屋も真面目なやつはだめだぜ。酒代さえウンとにぎらせれば、どんな事でもやッてのけるというような、頼母しいやつをさがしてくれ」

「ようがす」

と法達は、のみこんで手のあいた八助にそれをいいつけて、

「急にこの酒がお別れとなりましたね。じゃあ手前もひとつ、お流れをもらいましょうか」と車座のなかへ割りこみます。

――すると、法達にいいつけられて、かごをさがしに行こうとした八助が、すぐにそこへ引っ返して来て、

「親分――」と低い声を落しながら、本堂の方を指さしました。