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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《江戸三国志(えどさんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 頁
「おう、新助か。今な、そこでひょいと鼻を合わした人間が馬春堂だっていうので、びっくりして話をきこうと思っているまに、どこかへ這い込んでしまったんだ」
「馬春堂が居たって。……嘘だろう、まさか、いくら易者の身上知らずでも、あいつがこんな所にいるとは考えられない」
「ところが、何も知らずにその寝ている顔をなで廻したんだが、今になって思い合してみると、やっぱりあれの面にちがいない」
それから二人が、気永にそこらをなで廻して探しますと、変り果てた――と言ってもその姿は見えませんが、実に意外と言えるその馬春堂が、二人の四、五間うしろにおののいていました。
思いがけない馬春堂先生をそこに見出したり、暗やみにも眼がなれて来て、新米の雲霧と四ツ目屋にも、生ける墓場の実相なるものが、次第にうすうす分って来ました。
そこはちょうど「山の会堂」の真下であって、この穴蔵と会堂とはどこかに通路の階段があるのだそうです。そして今この地底には、およそ三、四十人の眼なし魚が冬眠状態になっている。
その人間達の素姓を洗ってみると、幕府の山役人もあり百姓もあり、旅の武士もあれば岡ッ引もある、また馬春堂の如き何にも知らない売卜者までが居るのだとは、先生自身が、ものうげに説くところであります。