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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《江戸三国志(えどさんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 頁
「な、なにをおっしゃるんです、あなたは」
「何を言うって」
「ええ。なにを言ってるんですか。だまって聞いていれば、私が不義でもしたような……」
「したじゃあないか。ふふふふ」
相手の語尾が、ゆがんだ笑いにかすれたので、おりんは、あの事だけに、かっと熱い血が頬へのぼって、怖ろしいことすら忘れかけました。
「じょうだんを言うのも、よい程にしてください。なるほど、拝島の空屋敷で、切支丹族の三人の男に、私が生き埋めになったところを、あとで、あなたが助け出してくださったのは、真実でございますが……、肌をゆるしたの、からだの工合はのと、そ、そんなことを、私は知りはいたしませぬ」
――相手は黙って聞き入って、すぐに澄んだ返辞をしてきます。
「知らない?」
「し……知りません」
「その知らないのが証拠だとも言えるが、じゃ話してやろう。あの誰も居ない空屋敷の奥の蚊帳に、おまえはおれの腕をまくらに、一刻のよも寝かされていた。ちょうどおれもただ一人で、何とはなく、あの陰気な昼の蚊帳に、寝ころんでいたところだったから、ついでもなく、手が出たのはあたりまえなことだった。……やがて、口うつしの……薬や、水や、それから先はお前にもおぼえがあろう」