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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《江戸三国志(えどさんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 頁

青空文庫

けれど間数は至って狭く、一の間、床の間、中の間、後ろ納戸、次の間、口の間、お膳の間、それに水屋が付いていて、黒竹の葉がのぞいている小さな忘れ窓が一つ。

「手頃じゃないか、金吾」

万太郎は方々を開けて見ながら、

「ここでいい。ここなら至って気楽そうじゃ」

と、独りで決めてしまいました。

「しかし、お食事は如何なさいますか」

と、これは剛兵衛の心配。

「午はいらぬ。朝と夕だけ連んでくれい」

「は。は……」驚いたらしいが、否やは言えずに「御膳部のものへそう申し付けておきまする」と、自分には責任のちがう事を断るように釈明しておきました。

「では今夜から、早速そう申しつけておけ。もうお前には用はない。帰れ」

「はっ。お暇申しあげまする」

「いや、ちょっと待て、つい聞きそびれたが、この錦霜軒のそばの山は何と申す」

「古くは船見山、または望岳台とも申しまする」

「嵐山というのは」

「それよりずっと山の窪から、向うへ峰をなしております、桜樹の多い所でござります」

「よしよし、もう用はない」

剛兵衛が立ち去ると、万太郎は疲れた足を長々と伸ばして、腹んばいから仰向けに引っくり返る。

そして、一方の膝へ一方の足を組み重ねて、